2013年12月10日 (火)

ケイビングカレンダー2014年度版

 過去20年あまりに渡り洞窟写真の発展に多大な役割を果たしたスイスのスペレオプロジェクトが発行するケイビングカレンダーがある。

 

毎年素晴らしい世界の洞窟写真を使用したカレンダーを発行しており、このカレンダーを見て、洞窟写真を撮始めた人も多いのではないだろうか。かく言う私もその一人のような気はする。

 さて来年2014年版のカレンダーであるが

Cal2014cover600

の5月の写真であるが、

Kalmay2014

私の写真が使われた。秋吉台の大正洞というところの写真である。
日本の洞窟や写真家が出たのは今回が始めてである。再来年以降も掲載できるよう、頑張って写真を撮らねばなるまい。掲載が常連となっているPhilippe CrochetやRoberto F. Garcia,Robbie Shone, Kevin Downeyらには、まだまだ及ばない。だけれども、国際洞窟写真家会合などで彼らと一緒に行動したり話をしたりしていると、自分の写真の撮り方や考え方にまだまだ改善の余地はあるので、少しずつ変えていきたい。

カレンダーは、スペレオプロジェクトスペレオオブックスExpeなどで通販で購入可能だ。

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2013年5月 6日 (月)

危険なケイビングとヘルメットの正しい装着法

 久しぶりの書き込みになってしまったけれど、最近気づいたことが一つあるので書いておかねばと思う。

 ケイビングにおいてはヘルメットは必須とされる装備である。しかし、単にヘルメットをかぶれば良いわけではない。

 大まかに言って、工事現場で使用される作業用ヘルメット。通称ドカヘルとクライミングで使われるクライミングヘルメット、オートバイで使われる二輪車用ヘルメット、他にもカヌーやサイクリング、スキーで使うヘルメットなど多種多彩なヘルメットが販売されている。

 ケイビングで使われるヘルメットはこれらのうち、クライミング用として販売されているものだ。横穴で立って歩けるような場所しか行かないという限定的な条件下であれば、作業用ヘルメットでも用が足りる場合もあるけれど、基本はクライミングヘルメットを使用するべきである。

 そしてクライミングヘルメットであるが、単に頭に乗せればよいというものではなく、きちんと購入時に添付されている使用説明書を読んで使用するものである。間違っても、あご紐を止めずに使用したり、止めてもあご紐のストラップを最大限伸ばして、ゆるゆるで使用しても良いとは書かれていない。緩みがないようきちんと締めるのが基本で、ストラップが締まるのが気になるようであれば、少しだけ緩めても良い。しかし、これ以上伸びないところまで伸ばしても良いとは書いてはいない。

 ということを書かねばならないのは、最近になって録画してあった正月番組で信じられないものを見たせいである。
 出演者の滝川クリステルさんというタレントがストラップを最大限伸ばした状態でケイビングをしていた。転倒時など怪我をしやすい危険なケイビングだ。何故その様なことになったのか。タレントさんやTV撮影スタッフをガイドし安全管理を行うべき立場であろう、2011年頃に設立されたケイビングツアーの業界団体の代表者が、TV画面の中でゆるゆるであったり、さらにはストラップを止めないままケイビングをしているという姿が堂々と映っていた。指導すべき人がそのような姿をしていれば、タレントさんが真似てしまうのは仕方がない。

 この団体はケイビングを案内するケイビング専門ガイドを養成しているとのことである。しかし番組内で「世界的に知られる洞窟探検の第一人者」と紹介されれる代表者が、基本とも言える誤ったヘルメットの被り方をして、皆に推奨しているかのような姿を全国に放映しているとなれば注意喚起をしておかねばなるまい。

 TV出演も多いし洞窟探検歴もたくさんある彼にあこがれて、ケイビングを始めようとした人や、彼からケイビングガイドになるための講習を受けた人が真似をしたらどうするのだろう。

 一般人はシートベルトを締めないと危険だがF1ドライバーは運転が上手だから一般道でシートベルトを締めなくても大丈夫とか、レースでなくサーキットを適当に流しているだけなら締めなくても大丈夫とか、そういったものに準じる話のようでもある。本人は事故を起こさずとも外来的要因による事故は起きるのだから、締めなくともよい話にはならない。ケイビングでも自らは転んだりしなくとも自然落石あるいは人為的な落石を受けたりと外来的要因による事故は起きている。自然落石による事故は極めて少ないけれど他人の引き起こした事象による怪我は時々ある。

 ヘルメットのストラップを止める云々は法律で決められた話でないので、やや事情は異なるとはいえ、皆のお手本になるべき人が、自分は上手だから大丈夫と基本を守らない、安全に配慮しない危険なケイビングを広めるようなことをするのはいかがなものかと思う。確かに、一部で言われているような、一部の研究者やケイバーが危険なケイビングをしていると言う話の実例はあるようで、そしてそれをTVで見るとは思わなかった。

 世界的に知られる洞窟探検の第一人者と紹介される人が、ヘルメットも正しくかぶれないままケイビングしている姿を見たら、他のフリークライミングなどヘルメットを必要とするアウトドアスポーツの愛好者がどう思うだろう。第一人者がこれではケイビングをする人は皆、適当な危険な活動をしていると思われても仕方がない。

 ということで、ほとんどのケイバーは正しくヘルメットをかぶってケイビングをしていますと、声を大にして言っておきたい。ごく一部の安全に配慮しない。手抜きをする人はそうではないかもしれませんが、こうした人はどんなスポーツにおいても一定数存在します。まあ、そうした人が第一人者となっている例はほとんどないと信じたい。ケイビングはそのほとんどない例に該当してしまいそうなのが悲しい。


 

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2009年8月 7日 (金)

洞窟石鹸

 先日行った国際洞窟学会議でこんなものを購入しました。SpeleoSoapと名づけられた石鹸。香りはExit Feverです。

Sbsh9039 お店でなんの香りなんだかと、嗅いでみると懐かしい香りが。そう。洞窟に入るときに嗅ぐあの匂いです。カビや菌やグアノや土の混ざったようなあの微妙な香り。

 洞窟に良く入っている人でないと、何の匂いだかわからないんじゃないかとは思いますが、http://www.speleosoap.com/
でどうぞ。

Webサイトを見ると、他にもいろいろな香りがあるようです。ケイバーの結婚式の引き出物とかプレゼントに最適? ・・・・・・かもしれません。

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2008年7月18日 (金)

Cave Rescuer's Manual

 先日から翻訳をしていたCave Rescuer's Manualであるが、まだ翻訳が完了していない。厳密にはすべて翻訳は終わっているのだが、最終チェックの段階で手が止まっている。今月中に仕上げないとならない。

 これまでに私はこの本を30冊ほど輸入して国内に再配布(無料ではない)しているが、追加の25冊を3月末に発注していた。しかし、先方が○○町30丁目2番5号のように書くべき宛名を○○町だけしか書かなかったために、4月中旬に、我家から500m程の郵便局に届きながらも、即日返送。そして、その事実が発覚したのが5月末。どうするかと協議して、結局返送後再配達となったのだが、それが昨日やっとフランスに返送された。もう再発送されたとのことなので、あと3週間ほどで届くのだろう。たぶん・・・・・・・。
 しかし、郵便システム。フランスから最寄の郵便局までは荷物の追跡が可能だったが、宛先不明で返送後は追跡できないとのことだった。なんだか中途半端だ。かかった時間を考えると、どう考えても船便だなあ。

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2007年12月17日 (月)

Firefly3

Img_0001_3  白蓮洞のあと19時に滝観光洞に入洞した。こちらは完全に写真撮影目的である。今回、新たに Firefly3というスレーブユニットを投入した。日本円にして1万5千円と、ストロボ本体よりも高価ではないかというほどのユニットである。以前紹介したことのあるユニットだが、今回やっと購入したものである。
Img_0002_4 このユニット。デジタルカメラのプレ発光に対応しているが、プレ発光の回数を自由に設定できるなどプログラマブルな仕様になっているようだ。 スイッチは二つしかないのだけれど、そのスイッチを何度も押したり押し続けたりで、設定が可能になっている。
 しかし、実際のところ1回発光で反応させるか2回で反応させるかなので、さして難しくはない。Img_0002_3以前紹介したSwissFlashは、これらの設定をケースを精密ドライバーで開けてDIPスイッチで設定しなければならず、洞窟の中で設定を変えることが困難だったのに比べると、非常に使いやすい。 余談だが、私のSwissFlashjは水没の結果、調子が悪いというより、まともに動作しなくなってしまった。
 洞窟の中での写真撮影は、配光を自由に選べるだけに、同じフレーミングでも光の当て方次第で変化に富んだ写真を撮れる。Img_0001_5巡光、逆光、側光などいろいろな角度で光を当てることが可能だ。このとき、Fireflyのようなセンシティブなスレーブユニットがないと思うような位置から光を当てることができない。
 今回は、主に観光洞での撮影を行ったが、一箇所だけ下見がてら最奥部になる泉の写真を撮りに行った。観光洞の最終地点には公称高さ28mの滝があるのだが、そのれを上り、さらに2mと8mほどの滝を登った先にある泉だ。Img_0001_6 以前は28mの滝を登るルートが滝に近いところにあり、やや水しぶきを浴びるのと、上りきったあとに、かなり怖いロープトラバースがあったのだけれど、今年になって新たに一本、33mの高さのロープが張られ、こちらのルートを通ると滝からも遠く、怖いトラバースもなく快適であった。たImg_0001_7だし、そのあとトレンチやメアンダーの棚をチムニーしながらさかのぼるのだが、一箇所ちょっとわたりにくい怖い場所があり、撮影補助で同行した後輩はかなりびびっていた。 やはり深さ10m以上もあり、足を開いてやっと届くぐらいの隙間を渡るのは怖いと思うのは当然だろう。ただ、これもそのうちだんだん感覚は麻痺してきて、怖いと思わなくなるものである。
Sumi_0001_1 泉は最後の滝を登った直後にある。泉の淵にはあまり立てる場所がないので、ストロボを炊く位置を確保するためにロープで確保を取ってもらい撮影をおこなった。かなり澄んだ池であるが、深さのほどは良くわからない。

 撮影後、観光洞へと水流を下る。途中、行きには水流の上20m以上上にいる感じであった測量版画、帰りには水流付近まで降りてきていたので、Sumi_0002_1挨拶に伺いつつ写真を撮るが、なかなか変な格好をしてくれた。博物館の展示物のようである。
 観光洞の滝の上部に達するあたりのトレンチにはさすがにトラバースラインが渡してある。他の場所であれば万が一落ちても、壁に当たり減速しながら10mぐらいしか落ちないが、滝の丈夫なると最後に20mは自由落下してしまい命の危険があるからだ。Sumi_0003トラバースラインを伝い、トレンチの底に覗く観光洞の灯りを眺めつつ移動するのはなかなかスリリングである。
 滝を降下後は再び観光洞の撮影を再開する。しかし、既に時間は深夜2時を回っており、なかなか気合が入らない。入らないけれども、眠い体に鞭打ちながら4時ごろまでで観光洞の大部分の撮影を終え、出洞した。
 出洞後は眠いけれども、とりあえずビール。3本。1.5Lを飲み干した午前7時には眠りについた。Sumi_0004_2 しかし、午前9時に起床であったので、あまり寝た気がしないまま11時には東京への帰路についた。運転はもちろん、出洞後に飲まずに寝た人である。

 

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2007年11月 1日 (木)

エンジンハンマードリル

 エンジンハンマードリルを買った。Expeなどのカタログに載っているボッシュや、かつて載っていたRyobiではなく、月星。いや星月だったか。まあいわゆる中国製らしい。らしいというのはネットで本体に貼り付けてあるシールの型番らしきものから検索した結果で調べただけで、取り扱い説明書や本体にはブランド名やメーカ名などが無いところがなんともいえない。
Hummer まあ、ボッシュなどが1000ユーロ超=16-18万で売っているのに対して3万以下。と、まあどんなものかはっきり判らぬまま、安いからいいのか思いつつ買ってしまった。

購入したのは写真にあるものと同じ型番で、ハンドルの形状がやや異なるバリエーション品のようである。
 16mmのドリルビットが付属していたので、とりあえずの目的である、セリ矢による石割には使えそうだ。しかし、このビット。見たことのないアタッチメント形状をしている。果たして、他の太さのドリルビットを手に入れることができるのか不安だ。とりあえずSDS-PLUSは明らかに適合しない。ビットを輸入するしかないという事態は避けたいところだ。輸入できればまだいいが、中国に買い付けに行かなければならない事態はもっと避けたい。まあ、このところ中国に行く機会も多いし、中国に定期的に行っている知人もいるので、何とかならないわけではないのだろうが。
 あとは試運転をどこかでやって、実践にと行きたいところだが、今のところ使う予定は無い。洞窟事故でも起きないかぎり。その前に、混合ガソリンを用意しなければならないわけではあるけれど。

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2007年10月 9日 (火)

Cave Rescuer's Manual

 この3連休は、滋賀県多賀町で洞窟救助講習を開催し、45人の参加者があった。この講習に間に合うように、Cave Rescuer's Manualという本を発注していたのだけれど、間に合わなかった。フランス語版の本は2005年夏にギリシャで入手済みであったのだけれど、さすがにフランス語。判らないところのほうがはるかに多い。2005年夏の時点では、英語版はでていなかったが、著者に尋ねたところ、翻訳作業中なのでまもなく出るとのことだった。
Dcf_0457
 その後、ちょくちょくケイビング関係の本を売っているサイトを覗いてはいたのだけれど、一向に販売される気配がなかったので、発行延期になっているのかと思い込んでいた。そうしたら、今年フランス留学から帰ってきた、知り合いのケイバーが売ってましたよという。しかし、その留学帰りケイバーは勉強も兼ねてかフランス語版を購入。ということで英語版を入手していなかった。

 そこでいろいろ探して6冊購入したのだが、3連休に間に合わず、講習を終えて帰ってきたら届いていた。タッチの差。ちなみに1冊4000円ほどと結構値が張る

 フランス語版で1997年発行のCave Rescuer's Manualとの変更点などは大まかに把握していたが、細かなところの変更点がこれではっきりするだろう。

PS
 どうでも良いことだが、カウンターがリセットされてしまった。まあいいか。

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2007年6月10日 (日)

スレーブユニット その2

 このブログのアクセス記録を見ると、スレーブユニットをキーワードにした検索が結構多い。
以前、スレーブユニットというタイトルで記事を書いたところにヒットしている。

 その記事以降、新製品が出たので紹介しておく。FireFlyの新型が出ている。従来のSynchroFlash2からSynchroFlash3と番号が一つ増えたが、どうもプレ発光に対応したようだ。ようだというのは、カタログがフランス語なので、辞書を使って訳さねば正確には理解できないのだが、辞書なしで読む限り対応しているようにみえるということだ。写真でも切り替えスイッチがあるように見える。

 しかし、問題はSynchroFlash2が69ユーロ≒11300円なのに、SynchroFlash3は139ユーロ≒22700円と倍の値段すると言うことである。Swiss Flashの96ユーロ≒15700円に比べてもかなり高い。ただSwiss Flashのプレ発光対応と未対応の切り替えがケースを開けてDIPスイッチを切り替えなければならないのに対して、SynchroFlash3はその必要が無いように見えるという点においてアドバンテージがある。プレ有と無しの両モードを頻繁に切り替える人ならば、検討しても良いのかもしれない。

 それと前にも述べたが、FireFlyは公称500mの距離でも赤外線に反応するとあるが、Swiss Flashにはそういった記載は無い。実際、Swiss Flashの方が感度が低いことは実感としてあるのでその点も考慮した方が良いだろう。

 余談であるが、私のSwiss Flash。南の島の水潜りをする洞窟で使っていたら、なぜかSwiss Flashだけ防水BOXから転げ出て、タックルバックの中を泳いでいたため、錆付いてしまった。磨いたらいくらか復活したものの、調子が悪い。1万5千円もしたのに・・・・・。
 そしてFireFly。ホットシューと本体を接続するコードが根元で被覆がはがれ始め、このままでは断線という危機に陥ったのが2台ある。残り2台は無事であるので良いけれど、補修しなければならないだろう。この手のスレーブユニットの弱点でもあるのでご注意を。

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2006年12月10日 (日)

Petzl Duo用1WLedユニット

R0011254  スレーブユニットと同時に1WのLEDユニットも購入した。これは、ねじ込み式のハロゲンバルブの代替として使えるもので、電池4本に対応するものだ。写真は上下逆になっているが、Petzl Duoに組み込んだところである。写真左には旧来からあるLED14個のPetzl製のユニットが入っている。
 この1WのユニットはPetzlではなく別のメーカー製である。しかし、こうして組み込んでみたものの、14個のLEDユニットとさして明るさの差があるわけではない。集光性がやや高いかなという程度である。ハロゲンバルブのままの方が、集光性が高く遠くを照らすことが可能なので、実際のところこのユニットのメリットはあまりないのかもしれない。もっとも、14個でなく8個や5個だったかの、LED数の少ないユニットを入れているひとであれば、それらよりは明るいと思うので有意だろう。

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2006年12月 9日 (土)

スレーブユニット

 暗く自然光のない洞窟内部においては写真を撮る場合、ストロボフラッシュやフラッシュバルブなどの人工光源を必要とする。通常、ストロボ撮影といえばカメラに付属、あるいは取り付けられた一つのストロボからの光で撮影することをイメージするだろう。記念写真等では、これで充分であるが、しかしそうした写真ではカメラから数m離れた被写体を平面的に写すだけであり、立体的な奥行き感を出すことは難しい。洞窟で立体感を出すため、あるいは大きな空間で充分な明るさを得るためにあ、複数のストロボを使わなければならない。複数のストロボを使用するには3つの手段がある。

A すべてのストロボをケーブルでカメラと接続する
B 三脚を立てバルブでシャッターが開放している間にストロボを各々人の手で発光させる
C スレーブユニットを使う。

 Aの方法は、カメラ本体の機能次第であるけども、すべてのストロボの発光量をコントロールすることができ、露出のことを考える必要が無い。しかし、カメラ本体から遠く離れてストロボを使用することは難しい。せいぜい、10m未満の距離でしか使用できない。また接続ケーブルの取り扱いも厄介である。

 Bの方法は、非常に便利な方法であるものの、ストロボの台数だけ人を必要とするため、人的資源に余裕のある際にしか使えない。また自然光が一部入るような洞口や人の動きがあるような場合では、うまくいかないだろう。

 Cの方法は、遠く離れた場所でも人がいなくとも連動発光させることができるし、三脚でカメラを固定しなくても良いので、スピーディに撮影を行うことができる。
 スレーブユニットという写真撮影に使う道具がある。洞窟写真を撮る際には必須といっても良いものである。これは、マスターのストロボフラッシュに従属(スレーブ)するストロボをコントロールするユニットだ。このユニットはストロボと接続して使うが、他のストロボの閃光発光を光センサーで受光すると、瞬間的に接続されたストロボを光らせるものである。

R0011263 じっくりと写真を撮る場合は、Bの手法を用いることが多いのであるが、層条件の良い場合ばかりではないため、私はCの手法をとることのほうが多い。

 このスレーブユニットは大きなカメラ店に行けばたいてい2千~4千円ぐらいで置いてある。しかし、日本で市販されているこれらのスレーブユニットは、他のストロボからの光を起電力として動作するため、マスターとなるストロボからの直射の光を10-30m以内の距離で受けないと動作しないのである。これらスレーブユニットは室内での複数のストロボを使用した撮影に使うことを想定しているようで、洞窟の広い空間で使用すると反応したりしなかったりと、非常にストレスを感じるし、そもそも思うようにストロボを配置できないのだ。予断であるが、写真の右側のナショナル製のスレーブユニット。受光部を回転させることができるので、ストロボの向きを自由に設定できると好んで使っていたのだが、良く壊れる。これまでに4つほど購入したが、現在生き残っているのは1つだけである。また他のスレーブユニットにしても可動部分がないにも関わらず、やはり良く壊れていた。

R0011261  さて、反応を良くするためには、受光した光による起電力ではなく、内部に電池を持ち光の変化を捉えて反応するタイプのスレーブユニットが良い。だが、残念なことに国内でそうした製品を見たことはない。

 さて1996年に発売開始されたFireflyという英国製のスレーブユニットが電池内蔵されており、公称で500m離れていても赤外線光に反応するということは発売当初から知っていた。しかし、値段は8千円から1万円と高価であるためにずっと購入に踏み切れずにいた。

 そしてやっと2年ほど前に、ファイアフライを購入した。開いて見ると、このユニットは内部にはボタン電池3個が内蔵されていた。電池内臓であるが、オンオフスイッチはなく、常にオンの状態である。しかし、2年ほどは電池が持つので信頼性の点からスイッチがないほうが安心できる。実際に洞窟で何度も使用したが、値段だけの満足感は得ることができるし、これまでのところ故障知らずである。

 このユニットを使うと、遠く離れていても、石柱の完全に陰になる場所にストロボを配置しても動作するので、心に描いた通りの写真撮影が行える。問題点は、観光洞や複数の人が同時に撮影をしている時、自分の意思とは裏腹にどんどんストロボが発光してしまうことである。100m離れた場所のストロボ光に容易に反応してしまうため、人の多い観光洞で使用することは大変難しい。

 さて、このファイアフライにも欠点がある。最近のデジタルカメラ、特にコンパクトカメラにおいては露出やピントを合わせるために本番撮影の直前、1秒に満たない間に弱いストロボ光を発光させる。いわゆるプレ発光というものであるが、ファイアフライはこのプレ発光に反応してしまう。最近デジカメ用にGN10-20の補助スレーブストロボが売られているが、これらには、プレ発光を無視し、2度目の発光で反応するモードが設けられている。

 そんな訳で、このファイアフライの欠点を解消した新たなスイスフラッシュというスレーブユニットが売られているのを先月見たので、即発注してしまっていた。それが昨日届いていた。
R0011256  大きさはファイアフライを少し厚く小さくした感じで、価格はファイアフライよりも更に高価で1万円を超える。写真は筐体をあけたところであるが、中にDIPスイッチが見える。このスイッチを調整することによって、最初の発光で反応するのか、2度目の発光でなのかなど1-5回の間で自由に設定することができ、また反応してストロボを発光させるまでの反応速度も設定できるという優れものである。しかしながら、ドライバーを使って筐体を開けなければこれらの設定ができないのは残念である。まあ、泥だらけの洞窟内でDIPスイッチをいじるのは致命的な行為なので仕方のないところかもしれない。一応、スレーブユニットのオンオフに割り当てられたDIPスイッチは筐体を閉めても操作できるよう小窓はあいている。ただし、ヘアピンのような細長いピンがないと操作はできない。

 そういうわけなので、洞窟の中で自由に反応するまでの回数を調整することはできないが、ファイアフライにない反応回数の選択ができるようになったということは、コンパクトカメラでの撮影には非常に有意義なことである。

 なお、スイスフラッシュの感度は、ファイアフライと同程度かややや弱いぐらいな感じであった。

 ところで、ファイアフライ。1996年から販売されている割には、私の周辺で洞窟写真を撮影している人に知られていなかったというのは、驚きであった。

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