遠征での洞窟活動最終日となる8日目である。この日は前日の活動で早く帰った班のみが半日活動し、明け方4時ごろに戻った4名は活動せずという予定である。
活動する6人のうち4人は務川近くにあるという洞窟に行き、私ともう一名が断層岩洞で昨年に詰め切れなかった洞口付近から伸びるトレンチ支洞へ行くこととなった。務川班は朝から先に4WDで移動し、夜に務川で合流。
断層岩班は昼過ぎまで活動し、道路脇で残りのメンバーが乗ったバスを待つということで活動を行った。
しかしながら、石朝での最終日。素直に出発とはいかず、朝食の後、記念撮影やらガイドへの別れの挨拶、バスへの個人装備の積み込みなどのあと活動に向かった。そんなわけで洞窟に着いたのは11時10分を少し回っており、活動終了予定の14時まで3時間もない。
早速、着替えたあと洞口ホールから2mほど上の段差に登るため、昨年打ち込んだボルトにハンガーとアブミを付け、それを足がかりに強引に登る。後続は短いロープを設置してSRTで登る。その方が楽で安全である。登った時点で既に11時半。
この支洞は幅1-2mほどの天井の高いトレンチが200mほど続き、その先で10mほどのピットになっている所まで昨年探検・測量済みである。今回はその先の調査となる。
ピットには程なく到着し、電動ドリルでボルトを打ち込み、降下した。やや水が流れているので濡れる。途中、一箇所プロテクター処理をして8mほどの高さを12時ごろに降りた。
降下すると少し広いホールになっていて、その先1mほどの段差を降りて、プールがあった。幅がさして広くないのでチムニーで乗り越える。さらに少しトレンチ状の通路を進むと結構な量の水流が流れる音が遠くに聞こえて来た。断層岩洞の本流に接続するのが確実と予想されていた。ただし高低差がまだ20mはあるはず
だよなと思いつつ、洞を先に進むと水音が消えてしまった。あれっと思いつつも先に進むと、今度は3mほどの滝(といっても水はほとんどなし)に出てしまい、装備がないと降りれないことが判明した。
しかし、ここでも水音は聞こえない。どういうことかと、戻ると途中水尾との一番良く聞こえるところでトレンチを4mほど登ると、横穴があり、そこを5mほど移動すると、深さ20mほどの竪穴があって、その底が断層岩洞の水流であるということが判った。確かに、昨年の記憶では接続していると思われる箇所で、それまで天井高さが20m近くあったのが、突然5mほどに下がっていたはずなので、その天井高さが変化するあたりなのだろう。さすがに、下から見て横穴があるとは認識できない。こういうところを登攀すればさらに洞窟が続いていることがあるのだろう。
さて、ここで先に進むかどうするかを考えると、ロープの予備が無かった(切ればあるが)のと、測量する時間を考えさらに降下せず、可能な範囲を測量することとした。測量中は周囲の様子を注意深く見ることができるので、いろいろなものを見つけることが多い。
今回は、壁にあいた20cmほどの亀裂の先に、ヘリクタイトを見つけた。それほど綺麗ではないのが残念。
測量を終え、出洞し道路脇でバスを待つ。この日は、石朝にしては珍しく太陽が出てきたので、とても暖かで、40-50分ほど待ったが苦にならなかった。
バスには既に眠さで轟沈している4名が乗っていた。相変わらず、道は悪く、途中何度か降りて歩いたものの、彼らは結局起きることが無かった。
務川には暗くなり始めた頃に到着し、夕食となったが、先に務川近くの洞窟に行った班は帰ってこなかった。
食事は久しぶりに豪華である。現地政府の幹部の人も出てきて、結構乾杯をしたように思う。
そうこうしているうちに、別働班が戻ってきた。聞けば、洞窟近くの民家で夕食をご馳走になったそうである。写真を後で見せてもらったが、なかなか趣のある良い雰囲気であった。
食後、時間があるのでどうしようかと思っていたところ、その別働班の人達のガイドが、良い店があるので行かないかと誘われているとのことで、それについて行った。
お茶の店というような説明であったが、お茶菓子とお茶というか、お茶漬けというか、そんな感じのお店であった。最初に、甘い菓子(砂糖を固めたようなもの)を食べ、そのあと米を揚げたようなものにお茶をかけて食べるというもので、この地域の風習なのだろうか。あまり聞いたことの無い食文化でなかなか興味深かった。誰か詳しく知っている人がいたら教えて欲しい。
この後は、バスで宿舎に戻ったのだが、このバス。ついさっきまで路線バスとして走っていたもので、お茶屋さんに来た運転手が家に帰るついでに乗せてやるみたいな感じだった。このアバウトさというかそういうところは好きである。日本では考えられないけれど、自宅付近に路線バスを駐車できるなら、そのほうが楽なのだろう。自宅に朝早くや夜遅くに移動するための自家用車を持つ必要も、会社に宿泊施設を用意する必要もないのだから。
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