洞窟調査2
1月の調査に続き、2月の3連休も岩手に洞窟調査に行ってきた。私は調査というより写真撮影が仕事である
。
撮影の目的は前回と同じであるが、今回は滝上の新空間がメインの撮影対象となる。初日は、地元新聞社の記者さんが最初のうちは同行して撮影を行った。一度、SRTの練習を屋外でやっただけではあるものの、リビレイも、デーヴィエイションもないロープを登るので問題はない。
ピッチヘッドで、多少面倒を見てあげるのと、降下時にボトムビレーを行う準備をしておくぐらいだ。
30mほど滝脇のロープを直登した後、足元に10m以上の割れ目のあるメアンダートレンチを注意深く50mほど遡った場所から、隙間をさらに上に登る。すると程なく横穴というか、斜洞が現れるので、そこを辿っていくとメインの水流とは異なる方向に伸びる支洞に出る。
とはいっても、やはり基本はトレンチで天井が高く幅が狭い通路が続く。ただ、上に登るほど形態はやや変わる。途中で微水流の流れに出て、洞は下りとなり滝などもあるが、そこも降りずにさらにトレンチを登るとまた異なる通路に出てというのを繰り返す。
そして最後に、幅5-10m、長さ50m、天井高10-20mほどのホールに出る。この洞窟は基本的にメアンダートレンチが最初から最後まで続いていて、ホールと呼べるような空間が無かっただけに、新鮮である。二次生成物も結構多い。
ここまでは、案内者と記者が同行していたが、一緒に写真を撮った後、彼らは先に下りて行き残りは二人で写真撮影を続けていた。本来は写真撮影は3人以上の人員が望ましいのだけれど、予定していた一人がドタキャンしてしまったので仕方が無い。
写真撮影の基本は、多灯ストロボ撮影である。この時も5台ほどのストロボを使用した。
一日目の夜はこのようにして撮影を終え、2日目に備えて、宿舎に用意されていた生ビールサーバーからビールを注ぎ明るくなった頃に就寝したように思う。
二日目であるが、昼過ぎに地元の消防署からSRTの様子を見たいということで6人ほどの消防士さんの訪問を受けた。写真撮影を行った班以外の人は、ひたすら測量図の製図を行っていて余裕が無いということで、プロジェクトリーダーと共に、滝まで行ってSRTの手ほどきを行った。さすがに消防士。力がある。私のSRTセットを貸していたのだが、後日、フットループをアセンダーとつないでいる4mmのマイオンのゲートが開き変形しているのに気がついた。チェストアセンダーを外すために、フットループに立ちこみ外そうとした際かなにかに、その力でもって変形させてしまったようだ。やはり200キロぐらいしか耐えられない小マイオンでは厳しいのかもしれない。
消防士が帰った後、軽いアルコール摂取と夕食の後、仮眠して夜遅くから4名ほどで入洞した。他の人は製図作業続行中である。基本的には滝の写真撮影だけであるので、気は楽である。しかし、滝を登りこれまでの奥へ行くのとは反対側に戻る方向に進むと、長径3m、幅1mほどの穴が開いていて、そこをチムニーしながらトラバースして穴の向こう側に行くというルートを通ることになる。これが非常に怖い。なんといっても穴の下-35mには観光洞の灯りで照らされたプールや通路が見えるし、チムニーといっても満足な足場があるわけでもない。最後の写真の右上に見える黒い穴がそれである。さすがに、ここを確保なしで通ろうと考える人はいないので、壁に沿ってトラバース用のロープがあるけれども、やっぱり怖い。まあなんとか渡りその先へ進むと、やはりいくらか怖い場所もあるものの、滝のあるホールを見渡せる展望台のような場所に出ることができ、ここから写真撮影を行った。
けれど、やはり滝がちょうど影で見えないこともあり、いまひとつであった。
滝を降りて、下から上を見上げる写真をいくらか撮った後、宿舎に戻り、やはりビールを飲んで寝た。最終日は、午前中寝て温泉に入った後、帰路についた。
今回、二日目の撮影の際、一台のストロボを預けていた人が滝つぼのあたりを動き回っているうちに水没させてしまった。とりあえず乾燥させてみたけれど、直ったかどうか。いまだにテストしていないので判らないが、経験上はかなり難しい。内部に高電圧のかかっているストロボは水にすこぶる弱いのだ。これまでに何台おしゃかにしたことだろう。
これらの写真や測量図を使った地元向けの報告会が2月末に行われたのだけれど、同行予定だった息子が熱を出してしまい残念ながら行くことができなかった。新聞記事にも出たそうで、役に立ててよかったというところだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント