洞窟調査
先々週、岩手の洞窟に行ってきた。3月にすぐ近くを高規格国道(たぶん)のインターチェンジが完成するのに合わせて、観光洞窟の改良を行っている洞窟だ。改良と同時に洞窟の調査についても記者会見するということで、その資料作りを私の所属クラブが無償で引き受けている。無償といっても実際には、宿泊施設(といっても観光洞管理センターの休憩室での雑魚寝)や食事(含むアルコール)や暖房の提供を受けているので、完全な無償というわけではないけれど、報酬や補助金を受け取っているわけではない。
私達のクラブでは、いくつかの観光洞の調査を単独、あるいは他団体との合同で行っているが、それらも同様に多少の便宜を図ってもらっていることがあるものの、基本的には無償での活動である。便宜は宿舎であったり、保険料の負担であったりという程度のもので交通費や食費を考えれば完全な持ち出である。
それでも、洞窟調査をしたいというのが、ケイビングを趣味とする者としての心理である。無論、洞窟調査やケイビングガイドでお金を得ている人や団体もある訳であるが、それで生活していく気はないし、お金を得ることによる義務や責任との釣り合いを考えると割りに合うものではないと思っている。
さて、先週末は金曜夜に東京を出発し、現地に朝付き、10時頃に現地入りした。そこで、地元の渉外先の方の家に土産を持って行ったところ、寄って行きなさいということで、眠い中を2時間ほどお茶してしまった。いろいろな話が聞けて楽しかった。その後、宿舎に辿り着いて、夜からの活動に備えて寝るものの3時間ほどしか眠むことができなかった。
19時にジンギスカン鍋をたらふく食べた後、22時から洞窟に入洞した。私は写真撮影を頼まれているので、奥の30m弱の滝をSRTで上った後に撮影を開始した。写真撮影を2~3人ほどで行ったが、その中で興味深い写真を撮ることができた。
従来、この洞窟の再奥部とされていた滝と泉よりやや手前をSRTで20mほど上るとボアパッセイジやキーホールパッセイジの横穴に出るのだが、そこをしばらく行った所の壁にウミユリの化石がある。この洞窟のある石灰岩にはもともとウミユリの化石が非常によく見られるのだが、ここで見た化石はウミユリの化石が他の部分よりもやや解けにくいためか、壁から完全に化石が飛び出ている形で存在していた。 通常なら、岩を注意深く削って取り出せるかどうかという感じなのだろうが、労せずしてウミユリの円柱形の形状そのままに取り出すことができるということだ。こういった形でのウミユリ化石の産状は初めて見た。
結局、出洞してビールを飲む時間を確保しようと思っていた午前3時を大幅に超過した、午前5時過ぎに出洞した。そして宿舎に戻ってビールを飲もうとするものの、圧力調整に失敗した泡ばかりでる生ビールを飲んで寝て、昼過ぎに温泉に入った後に岩手を後にした。
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