沖永良部 3
20日は銀水洞へ行く。古くから知られた洞窟であり、また上流側の流入口から最下流側のサイフォン脇の支洞に通じるマンホール洞口との間でのスルートリップが可能なことから人気の高い穴だ。私も過去に2度入洞したことがある。巨大なリムストーンプール群のあるポイントが綺麗なのだけれど、過去2度、水はなかった。今回も、水がリムストーンに溜まっているなら入洞しようかと思っていたので、19日に入洞した人に、水が入っていたかを聞いたところ、入っているとのことだったので入洞を決めた。
メンバーは昨日の7人の内、3人が抜けた4人。洞口を忘れているので、洞口近くまで案内してもらってから入洞する。今回は、竪穴装備を持ってきていないので、流入口から下流に向かって入り、途中で引き返すことにしていた。しかし、結局マンホールまで行ってしまい、スルートリップの2倍の距離を歩いた。9時半入洞で15時半出洞なので6時間かかった勘定である。途中写真を撮ったりしているので、単に歩くだけなら往復3-4時間ぐらいだろう。
沖永良部の穴にはたいていもれなくある水潜りも入口から15-30分ほどのところにある。
そこまでは、円礫の多い河原の続く地下河川である。途中の河原の高台に浮遊カルサイトを浮かべるプールがあったり、水溜りには体長2cmほどの白い海老がいたりした。これらのものは、のんびりと行かねば気づかないだろう。
水潜りはやや泡のたった天井が低く水深も浅いプールの奥にあるので、そこまでは身をかがめて進む。潜る箇所は2mほどで、難しくはないけどやはり肩まで水に浸かる。
水潜りの後は、洞窟の規模は拡大し、広い通路が続く。基本的には水路と河原で、時折深い淵があるが、すべて迂回できる。好きな人は泳げるだろう。
そうこうしているとお目当ての巨大なリムストーンプール群に到達した。が、が、最上部のリムストーンなどに辛うじて水があるだけで、他は乾いていた。確かに、水はあるが望む水はリムストーンに満々と青い水を湛えた姿であって、リムストーンの底に僅かにある水ではない。
ここで、気力が失せてしまったけれど、同行者3人はこの穴が初めてなので奥まで行きたいとのことだったので、気を取り直して先を急ぐ。
ちょうど穴の中間地点ぐらいにお化けフローストーンと呼ばれるフローストーンが通路を塞ぐ形で存在する。これを上るか下を潜るかすれば通り抜けできるが、下は肩まで水に浸かる水潜りであるし、上は設置してある捨て縄を用いて腕力で強引に上る必要がある。水潜りをすると体が濡れてしまい、写真撮影に適さなくなるので上のルートを行く。もっとも、水潜りして30分も経てば、暖かな沖永良部の穴では問題がなくなる。同行していた女性は腕力が足りないか思い切りがなかったのか、諦めて水くぐりをしていた。ただ、ウェットスーツを着ていたので暑かっただけかもしれない。
この先でいったん水は伏流ししばらくドライな洞窟となる。再び水が現れたあとは、リムストーンプールや淵が多い通路となる。
それらの淵のうち一箇所は水没していて上部を乗り越えるのだけれど、高さがあるので少し怖い。淵の上部のフローストーンの狭い隙間を腹ばいで通過するのだが、滑って落ちてしまいそうな恐怖感がある。実際は滑ることはないのだけれど、慣れない人には怖いだろう。でもあえて滑って、水に転がり落ちて喜ぶ人がいるのは見たことがある。高さ3mあまりから転がり落ちて楽しいのだろうか? 水が苦手でほとんど泳げない私には理解できない世界だ。
こうした箇所を過ぎていくとやがて最奥のプールとなる。このプールの脇に支洞があり、3段の段差を計15mほどチムニーで上ると地上の光がマンホールの先に見える。もともと自然洞口としてあったのか、畑を作る際に洞口が開いたのかは知らないが、ともかくマンホール洞口である。マンホールといっても街中で見かける鋼鉄の蓋ではなくメッシュ状の金網の蓋であるので、外光が見えるわけである。この穴から入って、流入口へ抜けるのがメジャーなコースであるが、今回は引き返すこととなる。このとき、15年ほど前だろうか。 そのコースを夏に行ったとき、マンホールの側面に長さ5cmほどはあるナメクジが大量に張り付いていたのを思い出した。春ならばいないのかもしれないが、そういう時期なら流入口往復も悪くない。
帰りは、往路で見当を付けた箇所の写真撮影を済ませながら戻る。皆もだんだん諦めがついたのか、泳がなくても良いところで泳ぐ人が増えてくる。実際、壁際を落ちないように注意しながら歩くより、水の中を歩いたほうが早い。
そしてリムストーンプール群まで戻り写真を撮るが、水がないこともあって、あまりいい写真が撮れなかった。また次回に期待というところだろう。果たして何年後にチャンスがめぐってくるのだろうか。
楽しい島だけに何度でも行きたいと思うのだけれど、前回から9年も空いていただけに、次はいつになることやら。
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