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2006年11月13日 (月)

新支洞

 ケイビングの魅力の一つには新洞や新支洞を発見し、人跡未踏の空間へ初めて足を踏み入れることができるというものがある。単に良く知られた洞窟に入って、探検を楽しむだけではこうした機会に出会うことは滅多にない。
 しかし、洞窟の調査や測量を目的に入る場合はこうした機会が結構ある。ここ数年、継続して調査している洞窟では、そうした機会に恵まれることが多い。確率的には50%ぐらいだろか。もっとも、新たに見つけた空間や通路の長さが10mとか30mということが多いのだけれども、この週末に行ってきた際には、100mを超える規模の新支洞を見つけた。

 4月か5月頃に、調査されていない通路がありそうな箇所を見つけたのだが、短径1-1.5m、長径2-3m、深さ15mはあろうかという竪穴の対岸にあるため用意に到達できなかった。9月にクラブの後輩に頼んで、この竪穴の上部を安全に渡って行けるようロープを張ってもらったところ、更に登った先で、別ルートを調査していた人と会話ができたので接続しそうだとは聞いていた。

 そこで、この週末の土曜に、もう一度人を派遣して接続を試みてもらったところ、人が通れるほど広い通路でつながった箇所は無いものの数箇所でつながったということが報告された。この時点で、この領域は人が誰も入っていないということが足跡などの痕跡からはっきりしていたのだが、一応場所の確認のため,土曜に入った人と共に日曜に私も行ってきた。

 最初は、例の竪穴をロープで確保しながら渡るのであるが、さすがに下が10-15mあり、幅もあるので結構怖い。いや怖いと感じるはずだ。最近感覚が麻痺しているのか、実はあまり怖くは無かったのだけれど、ともかくそこを渡ると、斜め上に5mほど登り、そこから真上に幅40cmほどのクラックを10m弱上る。ここまではロープ確保がある。そして、その先はクラック沿いに斜め上方に20mほど行くと数m四方の空間に出る。ここまでの間に、別ルートからの人とコンタクトできる場所が何箇所かあるが、いずれも人の通過はできないようだ。土曜は、ここまでしか探査していないと言うことだったので、この先を見に行ったのだが、最初はすぐ終わっているだろうという雰囲気だったので、そう思いながら行ってみると、いくつかの狭い箇所を経ながらもかなり続いていた。簡単な迷路状になっていて腹ばいにならずに済む通路のみを選んで進んだが、それだけでも総延長は50m以上ありそうであった。狭い通路が続いていればもっとあるだろう。

 そして最後は、柔らかい乾燥した粘土で覆われた深さ3mほどの浅い竪穴に到達したところで終えた。石を落としたところ10秒弱は転がっていく音が聞こえたので、10m以上の深さはありそうであったが、いかんせん、降りるのが難しいし、降りれても上り返せないかもしれない。そして、場所の案内のために一緒に入った人は、別の場所での用事の為、既に支洞を出ており、私一人の単独行動となっていた。その状態で無理をすることはできない。というわけで、そこで引き返したのだけれども、そこまで到達する間に空間はだんだん広くなっていたので、先の期待が持てる。

 来年春以降に、行く時にはロープを持ってもっと先まで行こうと思っている。何処まで続くかははっきりするだろう。願わくば、未踏の大空間が眠っていることを願いつつ。でもたいてい駄目なんだけれどね。

 というようなわけで、やはり洞窟調査は面白い。測量を行い、洞窟の空白領域を探し出し、洞窟の形態や成因を考えて、その空白の領域に新支洞があるはずだと、目星をつけて探せば見るかるものだ。何よりも先がどうなっているか判らない足跡のない通路を進んでいくのは、非常にエキサイティングである。ちなみに、経験のあまりない人にとっては、この行為は非常に危険なものであることを付け加えておかねばなるまい。

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